説得は影響力に非ず

つい先日、尊敬する先輩からこんな言葉を聞かされました。

「説得するって、結局相手からすると納得させられると言うことなのよね。自分から心が動いて頷くんじゃなくて、頷かされるわけでしょ。だから、させられたという感情は消えないわね。

私はこの言葉を聴いた瞬間、ハッとしました。

先輩の言葉が真実とするなら、私が得意と言われてきた事は、お客様にとって適切な事だったのだろうか?
私はこれまで、説得力があるとか交渉力抜群とか言われてきたけれど、それは相手を「納得させてきた」ということになってしまう。
相手の心に「納得させられた」というおもいが、心の片隅にほんの少しでも残っていたとしたら、それはあるとき突然に頭を擡げて、それに抗おうとする気持ちが増幅する可能性は拭えない。

私は今まで「説得する」と言うことは、相手に影響を与える事ができたのだと捉えて来ました。けれど、その先輩の言葉を聴いたときから、それまでの自分が使ってきた「説得する力」という言葉の意味をもう一度捉え直さなければいけないのではないかと言うおもいが湧いてきたのです。

そして、社会心理学のバイブルとして今日でも読まれている一冊の本が浮かんだのです。少しセピア色になった表紙のそのバイブル「影響力の武器」をあらためて手にしています。

普段、本は一定の時期が来ると必ず整理してしまうのですが、この本はずっと本棚の主として居座っています。

アメリカの社会心理学者ローバート・B・チャルディーニの著書で1991年に出版され、私が手にしたのは、2003年のことでした。
新規事業が起動に乗らないまま、心身ともにかなり参っていた頃。あらゆるセミナーに参加し、セミナーオタクならぬセミナー難民をやっていた頃です。

そのひとつのセミナーで、とてもユニークなキャリアを持つコンサルタントから紹介されたのが、「影響力の武器」でした。タイトルが妙に刺激的なこの本を次の日すぐに注文しました。

「ある日のことです。・・・」と言うフレーズでスタートする語り口に、私はどんどんとのめりこんで行きました。そこには、無意識にやっていたビジネスでの私の成功の根拠が、科学的に記されていたのです。

しかし一方で、自分自身の成功体験の裏づけが記されていると思いながら精読していた事とは裏腹に、「なぜ人は動かされるのか」と言うサブタイトルの言葉の意味が、私の心に深く入り込んで来るのには、長い年月が必要でした。

何故ならば、迷走していた当時の私には、とにかく現状から脱するための今すぐ結果の出せる具体的ノウハウを手に入れなければと言う焦りばかりが先行し、そこに書かれている人間の行動心理の深層を理解する力はなかったのです。

その当時の私は、人間を俯瞰的に観察し、なぜ顧客がその様な行動に至るのかを自分の経験に重ね合わせて検証するという事が出来ませんでした。結局読みはしたのですが、そのまま本棚に並べていました。

この本が長い間、本棚に居座っているのは「影響力」という言葉が私に整理をためらわせていたのかもしれません。

ブランディングサポートをする中で、私はクライアントの心の動きにフォーカスするようになりました。どんな提案やアドバイスも、クライアントの心に影響を与えなければ望ましい結果は得られないと言うことに気がついたのです。

「影響」とは決して説得とは非なるものです。

先輩の言葉はその事を言い当てている。私の頭に引っかかり、ズッと離れなかった「影響力」が、とても明確な確信となって湧いてきています。あの頃学んだノウハウのすべては、この「影響力の武器」が根拠になっていたという事実。なぜ、あのユニークなコンサルタントがこの本を紹介したのか、今になって理解できます!

学んで実践、そして検証する。
まさにその事の重要性を今ズッシリとした重さとなって腹に落ちて来る。
こういう事だったのか!

ノウハウはとても大事です。
同時にその手法には、必ず人間の行動心理の法則があるという事を是非知っておいてください。

その根拠を知っているか否かでは、取り組み方、そして取り組んだ結果に雲泥の差が出るという事実をあなたにも是非お伝えしたいのです。

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